NHKの連続テレビ小説いわゆる朝ドラは、実際に存在する人をモデルとしたドラマを放送しています。
2019年は、『なつぞら』と『スカーレット』で、女性アニメーターと女性陶芸家がモデルになったドラマでした。
オリンピックイヤーでもある2020年は、前期は作曲家をモデルにした『エール』です。
そして2020年後半の朝ドラは女優がモデルになる『おちょやん』の放送が発表されました!
主役は杉咲花さんで、演じる主人公のモデルは、浪花千栄子さんと言って、「大阪のお母さん」と呼ばれるほどの大女優さんです。
今回は、杉咲花さんが朝ドラで演じる主人公のモデルになっている浪花千栄子さんについてお伝えします!
浪花千栄子のプロフィール
画像引用元:Twitter
本名 南口 キクノ
別名義 香住 千栄子
生年月日 1907年11月19日
没年月日 1973年12月22日(66歳没)
出生地 大阪府南河内郡東板持町(現・富田林市)
職業 女優
大阪府南河内郡東板持町(現・富田林市)に、養鶏業を営む家に生まれました。
8歳の時に道頓堀の仕出し弁当屋に女中奉公に出されます。
貧しさゆえ、小学教育を受けられず、字が読めないために苦労を重ねていました。
その後自らの努力で読み書きを習い、文盲から脱したのです。
その後、京都で女給として働いていましたたが、18歳のときに、知人の紹介で村田栄子一座に入ることになります。
間もなく舞台にも立つようになるが、不入りが続き、東亜キネマ等持院撮影所に移りました。
「香住千栄子」の芸名で端役出演を続け、1926年(大正15年)、山上伊太郎の初シナリオによる大作、『帰って来た英雄』の準主役に大抜擢され、それ以来、順調に役をこなしていくことになります。
その後、市川右太衛門さん、市川百々之助さんに招かれ映画出演を続けたが、給与未払いなどもあり映画界から足を洗うことになりました。
1929年(昭和4年)、「新潮劇」に参加し、1930年昭和5年には、2代目渋谷天外さん、曾我廼家十吾さんらが旗揚げした松竹家庭劇に加わりました。
同じ年に2代目天外さんと結婚し、松竹家庭劇、および1948年(昭和23年)に2代目天外さんらが旗揚げした松竹新喜劇の看板女優として活躍しました。
しかし、2代目天外さんと新人女優九重京子との間に子供が生れたのをきっかけに(つまり不倫されてしまったということです)離婚し、1951年(昭和26年)、松竹新喜劇を退団する。
その後芸能界から身を引き、同業者にとっては行方不明同様になっていたが、NHK大阪放送局のプロデューサー・富久進次郎さんが浪花さんを捜索しました。
その富久さんに請われて、NHKラジオの『アチャコ青春手帖』に花菱アチャコの母親役として出演し、人気を博したのです。
続編がいくつも作られて、長寿番組となり、斎藤寅次郎監督により映画化もされました。
その後も映画出演が続き、溝口健二監督の『祇園囃子』で茶屋の女将を演じ、ブルーリボン助演女優賞を受賞して以来、溝口監督、木下恵介監督らに重用されるようになります。
この時期の代表作に、森繁久弥さんと共演した『夫婦善哉』、黒澤明監督の『蜘蛛巣城』、内田吐夢監督の『宮本武蔵』、小津安二郎監督の『彼岸花』などがあり、これら作品は今でも名作として愛されています。
京都嵐山の天龍寺内に旅館「竹生(ちくぶ)」を開き、養女とともに経営したのです。
開業直前には、溝口監督に頼まれて『近松物語』で共演する香川京子さんを旅館に預かり、着物の着こなしや立ち振る舞いを指導したのです。
テレビドラマでも『太閤記』、『細うで繁盛記』などに出演した。
1973年12月22日、消化管出血のため死去。
66歳で亡くなりました。
亡くなった後に、勲四等瑞宝章を受章しました。
日本における勲章は、個人の功績や業績を国家が表彰するための制度として明治以降に整備されました。
現在は法律が変わり、紫綬褒章などと呼ばれていますが、当時は、勲位というランクのようなものがありました。
勲一等から勲十二等まであり、浪花さんはその中の4番目の勲四等を受章したのです。
浪花千栄子の画像まとめ
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浪花千栄子の出演作
テレビドラマ
- 東芝日曜劇場(TBS)
- 第283話「おばあさん」(1962年)
- 第302話「三条木屋町」(1962年)
- 第450話「求婚」(1965年)
- 第666話「天国の父ちゃんこんにちは その10」(1969年) – 中村の老婆
- 第884話「思い出草」(1973年)
- 続・のれん太平記(1964年)
- ゴールデン劇場 / 楢山節考(1964年)
- 太閤記(1965年) – 大政所
- 銭形平次(CX)
- 第9話「兄弟ふたり」(1966年) – おみね
- 第396話「母の祈り」(1973年) – おまさ
- 船場(1967年、KTV)
- カツドウ屋一代(1968年、NET) – 牧野彌奈
- 大奥(KTV) – 藤岡
- 第33話「鮮血の誓い」(1968年)
- 第34話「仇討ち神田祭」(1968年)
- 堂島(1968年、KTV)
- 五番目の刑事 第4話「太陽が西から昇った!!」(1969年、NET) – カネ婆さん
- 大坂城の女(1970年、KTV) – 大政所
- まんまる四角(1973年、TBS) – 本田キヨ
- 細うで繁盛記シリーズ(1970年 – 1973年、YTV) – ゆう
映画出演は80本以上!
- 滝の白糸(1952年、大映) – みどり
- 祇園囃子(1953年、大映) – お君
- 怪談佐賀屋敷(1953年、大映) – 杉江
- 女の園(1954年、松竹) – 鶴賀の小母さん
- 芸者小夏(1954年、東宝)
- 山椒大夫(1954年、大映) – 姥竹
- 舞妓物語(1954年、大映) – 田中せき
- 噂の女(1954年、大映) – お咲
- 二十四の瞳(1954年、松竹) – 飯屋のかみさん
- 近松物語(1954年、大映) – おこう
- 夫婦善哉(1955年、東宝) – おきん
- やがて青空(1955年、東宝) – 飛田やす
- 三人娘シリーズ(東宝)
- ジャンケン娘(1955年) – お信
- 大当り三色娘(1957年) – 吉岡梅子
- お父さんはお人好しシリーズ
- お父さんはお人好し(1955年) 大映京都
- お父さんはお人好し かくし子騒動(1956年) 大映京都
- お父さんはお人好し 産児無制限(1956年) 大映京都
- お父さんはお人好し 優等落第生(1956年) 大映京都
- お父さんはお人好し 迷い子拾い子(1956年) 大映京都
- お父さんはお人好し 家に五男七女あり (1958年) 宝塚映画
- お父さんはお人好し 花嫁善哉(1958年) 宝塚映画
- 残菊物語(1956年、大映) – 女按摩おもと
- 女囚と共に(1956年、東京映画) – 金岡みつ子
- 猫と庄造と二人のをんな(1956年、東京映画) – おりん
- 世にも面白い男の一生 桂春団治(1956年、宝塚映画) – おあき
- 祇園の姉妹(1956年、大映) – お君
- 蜘蛛巣城(1957年、東宝) – 物の怪の老婆
- 大阪物語(1957年、大映) – お筆
- 雪国(1957年、東宝) – 女中・おたつ
- 源氏物語 浮舟(1957年、大映) – 女房 浦風
- 東北の神武たち(1957年、東宝) – 嚊おえい
- 青い山脈 新子の巻・雪子の巻(1957年、東宝) – 宝屋のお内儀
- 続サラリーマン出世太閤記(1957年、東宝) – 松村せい
- 駅前旅館(1958年、東宝) – 保健の先生
- 二等兵物語シリーズ(松竹)
- 二等兵物語 死んだら神様の巻(1958年) – すえの
- 二等兵物語 あゝ戦友の巻(1958年) – 花巻絹枝
- 二等兵物語 万事要領の巻(1959年) – お春
- サザエさんシリーズ(東宝) – 西野ちえ
- サザエさんの婚約旅行(1958年)
- サザエさんの結婚(1959年)
- サザエさんの脱線奥様(1959年)
- サザエさんとエプロンおばさん(1960年)
- 彼岸花(1958年、松竹) – 佐々木初
- 夜の素顔(1958年、大映) – 絹江
- 花のれん(1959年、東京映画) – 石川きん
- 伝七捕物帖 女肌地獄(1959年、松竹) – 竹造の叔母お虎
- 鉄腕投手 稲尾物語(1959年、東宝) – 稲尾かめの
- グラマ島の誘惑(1959年、東宝) – 佐々木シゲ
- 浪花の恋の物語(1959年、東映) – おえん
- 新・三等重役シリーズ(東宝) – 宮口鶴子
- 新・三等重役(1959年)
- 新・三等重役 旅と女と酒の巻(1960年)
- 新・三等重役 当るも八卦の巻(1960年)
- 新・三等重役 亭主教育の巻(1960年)
- サラリーマン御意見帖シリーズ(東宝) – 夏川千代
- サラリーマン御意見帖 男の一大事(1960年)
- サラリーマン御意見帖 出世無用(1960年)
- 番頭はんと丁稚どんシリーズ(松竹) – 隠居はん
- 番頭はんと丁稚どん(1960年)
- 続番頭はんと丁稚どん(1960年)
- 続々番頭はんと丁稚どん(1961年)
- 続々々番頭はんと丁稚どん チャンポン旅行(1961年)
- べらんめえ芸者シリーズ(東映)
- 続べらんめえ芸者(1960年) – 長谷川杉
- 続々べらんめえ芸者(1960年) – 小春の母おとし
- べらんめえ芸者罷り通る(1961年) – おとし
- べらんめえ芸者と丁稚社長(1963年) – 千加
- 親鸞(1960年、東映) – 老婆
- あれが港の灯だ(1961年、東映) – 「つる代」の女将
- 宮本武蔵シリーズ(東映) – お杉
- 宮本武蔵(1961年)
- 宮本武蔵 般若坂の決斗(1962年)
- 宮本武蔵 二刀流開眼(1963年)
- 宮本武蔵 一乗寺の決斗(1964年)
- 宮本武蔵 巌流島の決斗(1965年)
- 悪名シリーズ(大映) – 麻生イト(女親分)
- 悪名(1961年)
- 続 悪名(1961年)
- 小早川家の秋(1961年、宝塚映画) – 佐々木つね
- 次郎長社長と石松社員 威風堂々(1962年、ニュー東映) – おゆき
- 瞼の母(1962年、東映) – 老婆
- 今年の恋(1962年、松竹) – 相川お紋
- 殺陣師段平(1962年、大映) – 婆さん
- 古都(1963年、松竹) – 茶屋のおかみ
- 女系家族(1963年、大映) – 芳子
- 伊豆の踊子(1963年、日活) – 母親お芳
- 丼池(1963年、宝塚映画) – 堀川タダ江
- 続・社長忍法帖(1965年、東宝) – 女将せん
- 大阪ど根性物語 どえらい奴(1965年、東映) – おうめ
- 華岡青洲の妻(1967年、大映) – 加恵の乳母
- 女賭博師シリーズ(東映)
- 女賭博師乗り込む(1967年) – 寺尾きく
- 女賭博師みだれ壷(1968年) – お藤
- 極悪坊主 念仏三段斬り(1970年、東映) – 黒田はつ
ご覧の通り、浪花千栄子さんの多数の映画出演をしており、その数なんと、88本の作品に出演しています。
数々の名作と呼ばれた作品に出演していますが、特に注目なのが、「サザエさん」シリーズに出演をしていました。
アニメや漫画でお馴染みですが、実写ドラマは今もありますが、映画化されていたということを知る人は多くないでしょう。
浪花さんが演じた役はサザエさんの叔母という役どころで、アニメしか見たことがない人の多くは見たことのない役でした。
ホーロー看板でおなじみのオロナインのCM
昔の町を模しているようなお店やテーマパークなどでも見るホーロー看板ですが、画像のオロナインやオロナミンC、画像以外だと金鳥などの看板のイメージもあるかもしれません。
そして浪花千栄子さんは「オロナイン」のホーロー看板に顔を載せています。
これには面白いエピソードがあり、本名の「南口 キクノ」の読みである「なんこう きくの」に因んで、オロナイン軟膏(大塚製薬)のCMに出演していたのです。
語呂合わせで験を担いでキャスティングをするというのは、当時の独特な雰囲気が感じられていいですよね!
おちょやんの意味は?
冒頭でお伝えした、来年放送される朝ドラのタイトルは『おちょやん』です。
このドラマの主人公のモデルは、浪花千栄子さんなのですが、タイトルの『おちょやん』は浪花さんを指しているというのは、わかりますよね。
ではその『おちょやん』というのはどういう意味なのか?
タイトル「おちょやん」は、“おちょぼさん”がなまった大阪ことばで、茶屋や料亭などで働く、小さい女中さんを意味します。女中奉公していた8年間はヒロインの原点であり、その言葉の親しみやすさ、かわいらしさ、意地と誇りなどの象徴として、タイトルとしました。
引用元:NHK
浪花さんが女優になる前の若かりし頃の女中さんをしていた頃を表していたのです。
【おちょやん】NHK朝ドラの登場人物・出演者プロフィール記事まとめ
まとめ
朝ドラになるだけあって、かなりスゴい人生を歩んでいましたね。
女中さんから女優さんになるというシンデレラストーリーのような感じがしますが、ただ成り上がったというだけでなく、離婚した理由も昭和の芸人さんという感じがしますよね。
これだけの人生を歩んでいることを見ると、ドラマになってもストーリーもかなり面白そうですよね!
朝ドラもいいですが、浪花千栄子さんの出演作品もぜひ見てみてください!