「北国の春」などの名曲で知られる千昌夫さんは、昭和を代表する演歌歌手でありながら、かつては「歌う不動産王」と呼ばれるほどの実業家でもありました。
そんな千昌夫さんがどんな学生時代を送り、どのような家庭環境の中で夢を育ててきたのか気になりますよね。
実は、千昌夫さんのふるさとは自然豊かな岩手県。
お父さんやお母さん、兄弟とのつながりが、後の音楽人生にも大きな影響を与えたといわれています。
少年時代から努力を惜しまなかった千昌夫さんが、どんな道を歩んでスターになっていったのか――そのルーツを探ってみましょう。
千昌夫の学歴
千昌夫さんは、岩手県出身の演歌歌手として知られていますが、学生時代の詳しい学校名などはあまり公表されていません。
とはいえ、地元での暮らしぶりや当時の努力の積み重ねが、のちの大ヒット曲誕生につながっていったといわれています。
ここでは、千昌夫さんの学歴とともに、少年期から歌手を志すまでの歩みを振り返ってみましょう。
千昌夫の出身小学校
出身小学校については公式な情報が公開されていませんが、生まれ育ったのは岩手県陸前高田市(旧・気仙郡矢作村)です。
地元の小学校に通っていたと考えられており、幼少期から歌が得意で、地元の行事などで歌声を披露することもあったそうです。
田舎ならではの人情と自然に囲まれた環境が、のちに彼の温かい歌声の原点になったとも言われています。
千昌夫の出身中学
出身中学校も公表されていませんが、同じく地元の中学校に通っていたようです。
当時から歌が好きで、文化祭や学校行事で歌う姿が印象的だったという地元の証言もあります。
中学卒業後に上京を意識し始めたとも伝えられており、音楽の道への第一歩を心に描いていた時期だったようです。
千昌夫の出身高校
中学校卒業後は、水沢第一高等学校に進学しました。
偏差値はおよそ37〜41ほどで、地元では伝統ある学校として知られています。
お母さんのすすめで高校進学を決めたものの、家庭の経済的な事情もあり、下宿しながらアルバイトを掛け持ちする毎日だったそうです。
そんな中でも歌への情熱は衰えず、ラジオ番組に投稿したテープが関係者の目に留まったことが転機に。
高校2年生のときにお母さんやお兄さんに内緒で上京し、歌手を目指すために中退を決意しています。
この頃の決断力と行動力が、のちのスター誕生へとつながっていったのです。
千昌夫の出身大学
高校を中退したため、大学には進学していません。
千昌夫さんの最終学歴は高校中退となりますが、実際には10代半ばで歌の世界に飛び込み、わずか数年でヒット曲を出したという異例の成功を収めました。
学歴以上に、自らチャンスを掴みにいく行動力と努力が、千昌夫さんの人生を支えてきたといえそうです。
千昌夫の実家は岩手県？
千昌夫さんの実家は、岩手県陸前高田市竹駒町にあります。
現在も地元では「陸前高田出身の大スター」として親しまれており、ふるさとを大切にしてきた姿勢が多くの人の記憶に残っています。
もともと実家は、明治時代から広い田畑を所有する農家だったそうですが、戦後の農地改革によって代々受け継がれてきた土地の多くを失い、暮らしは決して楽ではなかったといわれています。
千昌夫さん自身も少年時代は家計を支えるために働きながら、歌の夢を諦めずにいたそうです。
千昌夫：愛鳥と一緒に「星影のワルツ」熱唱 趣味多彩、写真プロ並み＆飛行機操縦も 「徹子の部屋」で#千昌夫 #徹子の部屋 https://t.co/opyCXyjZZL
— MANTANWEB (まんたんウェブ) (@mantanweb) August 6, 2023
そんな厳しい環境のなかでも、家族への感謝を忘れなかった千昌夫さん。
ヒット曲「星影のワルツ」でブレイクした後には、お母さんのために故郷に家を建てたというエピソードが知られています。
その家は、昔ながらの畳や土間、瓦屋根のある日本家屋をモダンな素材で再現したもので、「懐かしいけれど新しい家」として話題になりました。
ちなみに、陸前高田市は東日本大震災で大きな被害を受けた地域でもあります。
千昌夫さんは震災後、被災地支援のためのチャリティ活動にも参加しており、自身の原点である地元を思う気持ちは今も変わっていません。
こうした生き方からも、彼の人柄の温かさと家族への深い愛情が感じられます。
（出典:岩手日報／ノーリーズン公式サイト）
千昌夫の生い立ち
千昌夫さんは1947年4月8日、岩手県陸前高田市で生まれました。
戦後間もない時代で、生活は決して豊かではなく、幼い頃から貧しい環境の中で育っています。
家族と力を合わせて日々を過ごすなかで、「いつかこの暮らしを変えたい」という思いを強く抱いていたそうです。
高校進学後もその思いは変わらず、学業と生活費を両立させるためにアルバイトに励む毎日を送っていました。
そんな中で千昌夫さんが見つけた”希望”が、歌の道でした。
1968年8月26日、千昌夫「星影のワルツ」がオリコン1位を獲得～発売から2年で1位を記録した超ロングセラーhttps://t.co/gQu58BP8DX pic.twitter.com/3uNnwbXFc3
— 大人のMusic Calendar (@0music_calendar) August 25, 2019
もともと歌うことが好きで、ラジオや地元の催しで歌声を披露する機会も多かったといいます。
転機となったのは、週刊誌で目にした作曲家・遠藤実さんの記事でした。
「この人に弟子入りすれば夢が叶うかもしれない」と決意し、家族に内緒で上京を決めたのだそうです。
その行動力は当時わずか10代半ば。
上京後、遠藤さんの門をたたき、1965年にシングル「君が好き」で歌手デビューを果たしました。
貧しさの中でも夢を諦めず、自ら道を切り開いていった千昌夫さんの生い立ちは、多くの人に勇気を与えるものです。
彼の人生そのものが「努力すれば人生は変えられる」というメッセージのように感じられます。
（出典:ノーリーズン公式サイト/日本レコード大賞公式ページ)
千昌夫の父親
千昌夫さんのお父さんは、阿部健樹(あべ・けんじゅ)さんといいます。
地元・岩手県で左官職人として働いていましたが、戦後の混乱期ということもあり、仕事を求めて北海道まで出稼ぎに出ることが多かったそうです。
そのため家庭を支えるために家を離れる時間が長く、幼い千昌夫さんにとっては「なかなか会えないお父さん」だったといいます。
たとえば当時の岩手県沿岸部では、男性が冬季に北海道の建設現場などへ出稼ぎに行くことが一般的でした。
阿部さんも同じように、家族の生活を守るために厳しい労働に身を置いていたと考えられます。
家を留守にしがちでも、家族への思いは強く、休みには手土産を抱えて帰ってきたというエピソードも残っています。
しかし不幸にも、千昌夫さんが小学4年生の頃にお父さんは狭心症で倒れ、48歳という若さでこの世を去りました。
家計を支えていたお父さんを早くに亡くしたことは、家族にとって大きな転機となり、千昌夫さんが「自分の力で家族を支えたい」と強く思うようになったきっかけにもなったそうです。
のちに千昌夫さんは、歌手として成功したあともお父さんの墓前に報告を欠かさず行っていたといわれており、その姿勢からも家族への深い感謝と尊敬の気持ちが伝わってきます。
(出典:ノーリーズン公式サイト/岩手日報)
千昌夫の母親
千昌夫さんのお母さんは、阿部みどりさんという方です。
お父さんを早くに亡くされたあとも再婚せず、たったひとりで子どもたちを育て上げました。
生活は決して楽ではなく、宮城県気仙沼市の工場まで片道2時間、往復で4時間もの距離を毎日通いながら働いていたといいます。
雪深い季節でも休まず働き続ける姿に、幼い千昌夫さんは強い責任感と家族への思いを学んだそうです。
そのような厳しい環境のなかでも、お母さんはいつも明るく前向きだったといわれています。
千昌夫さんが歌手を志したときも、最初は不安だったものの、「やりたいならやってみなさい」と背中を押してくれたのだとか。
のちに「星影のワルツ」で大ヒットを記録した際には、テレビの前で涙を流して喜んでいたというエピソードも残っています。
お母さんはその後もずっと千昌夫さんを支え続け、生涯にわたって親子の絆を大切にしていました。
2020年8月、99歳で亡くなられましたが、千昌夫さんは今もたびたびインタビューなどで「母の教えが自分の原点」と語っています。
苦労を重ねながらも、子どもの夢を信じて見守り続けたお母さんの存在は、千昌夫さんの人柄や人生観に深く影響を与えているようです。
（出典:ノーリーズン公式サイト/スポニチアネックス）
千昌夫の兄弟や姉妹
千昌夫さんには、3人きょうだいの真ん中として生まれたといわれています。
上にお兄さんの阿部洋一さん、下に弟さんの阿部国男さんがいます。
いずれも一般の方のため、現在の職業や近況などは公表されていませんが、地元・岩手県で暮らしているという説もあるようです。
幼い頃は、お父さんが仕事で家を空けがちだったため、きょうだい同士で助け合いながら生活していたそうです。
特にお兄さんは家族思いで、家計を支えるために早くから働いていたといわれています。
そんな兄の背中を見て育った千昌夫さんも、「自分も家族を支えたい」と強く思うようになり、歌手を志す原動力になったとも語られています。
一方、弟の国男さんとは年齢が近く、子どものころは一緒に遊ぶことも多かったようです。
家庭の苦労をともに経験したきょうだいだからこそ、今も深い絆で結ばれているのではないでしょうか。
家族の支えがあったからこそ、千昌夫さんは厳しい芸能界でも長く活躍を続けてこられたのかもしれません。
（出典:ノーリーズン公式サイト／岩手日報）
まとめ
幼い頃にお父さんを亡くし、家族を支えるお母さんの背中を見て育った千昌夫さん。
厳しい環境のなかでも「この暮らしを変えたい」という一心で歌の道へ進み、その努力がやがて日本中に届く名曲の数々を生み出しました。
今もなお、地元・岩手への思いや家族への感謝を忘れずに活動を続けている姿には、長年応援してきたファンも胸を打たれます。
もしも順風満帆な人生だったなら、あの人間味あふれる歌声や情感豊かな歌詞は生まれなかったかもしれません。
さまざまな苦労を糧にしてきた千昌夫さんだからこそ、時代を越えて心に残る歌を届けられるのでしょう。
これからも自分らしい歩みで、温かな歌声を響かせてほしいですね。